合言葉は『昇格!』

提供者: 平成19年(2007)-都筑亮太。 区分: 寄稿文

 
 立教大学体育会テニス部19年卒の都筑亮太です。テニス部創立100周年という記念の年を迎え、自身が在籍していた当時の思い出を振り返りつつ、今後の更なる発展と、念願の上位リーグ昇格を目指す現役部員たちへのエールを込め、寄稿することにしました。
 
 私が、群馬県チャンピオンとしてインターハイに出場した2002年、後に立教体育会テニス部入部後知り合うことになる同期テニス部メンバーが、インターハイの行われていた茨城県神栖町コートに各県代表として集結していました。そこでは言葉を交わす事もなく、勿論面識もなかったにもかかわらず、その次の年の春、一生の親友として出会う事になりました。
 
 群馬県のテニス界で名を馳せ、名誉や名声を欲しいままにし(過去の記憶なので2割増)、自身が把握していないところではファンクラブ発足していたという噂もあった亮太少年。楽しい大学生活、親元離れての一人暮らし、更なる活躍の機会に、亮太少年は当時の痩せた薄い胸を、希望と夢でいっぱいにときめかせていました。しかし、群馬県立高崎高等学校という関東であるにもかかわらず田舎で、のびのびと、そしてアットホームな雰囲気の中チヤホヤされて育った『ストローカー亮太少年』は、入部後すぐに大きな大きな壁にぶち当たったのでした。
 
 体育会テニス部特有の上下関係の厳しさ、厳格な雰囲気、そして何より関東テニスのレベルの高さに圧倒されたのです。まさに『井の中の蛙大海を知らず』、言うなれば『群馬の亮太世間を知らず』でした。
 
 入部後すぐの対抗戦、今までに無いようなボロボロの負け方をし、全員ミーティングで部員全員の前で言われた先輩からの一言は、『都筑のテニスは何がしたいのか全くわからない意味不明。』でした。私は唖然としました。未開の地グンマー帝国と呼ばれる田舎で、伸びるだけ伸びて高くなった鼻を、ペシッと折られたのは、まさにこの時でした。
 
 私はそれまで、深く考えずとも勝てていました。しかし、大学での自分のテニスは、今までであれば決まっていたであろうストロークはすべて拾われ、その焦りからミスを連発し自滅するという散々なものになっていました。
 
 『テニスが意味不明』と言われ、考えれば考える程、自信喪失し、大した活躍もできないまま1年生の1年が終わりました。高校の時からは想像もできないような1年。正直、高校の時よりも下手になったのではないかと思っていました。まさにスランプを絵に描いたような1年でした。しかし、そんな私にも転機が訪れるのです。
 
 2年生後半、当時のコーチとの出会いです。そこで初めて自分のテニスプレースタイルを褒められ、再び自信を得ることになったのです。ストロークも、打てばエースが決まっていた群馬時代を思い出させてくれました。褒められて伸びる『アメリカ式精神』の少年亮太から転換期を迎えていた青年亮太は、再び群馬時代のような、イケイケドンドンな確変期に突入しました。
 
 そこからは、極論自分にプラスになる話しか信じないようにし、怒られたとしても、『右から~右から~何かが来てる~それを僕は~左に受け流す~♪(当時流行)』の技を習得、自分が求める目標だけを真っ直ぐ見つめ日々の練習に励みました。すると、今までが嘘だったかのように試合でも勝てるようになり、3年生時のリーグ戦で昇格を懸けた、記憶に残るダブルスの試合を制することができたのでした。
 
 何が言いたいのかと言えば、監督やコーチ、先輩、OBOGの言葉を、プレッシャーに感じたり、重圧に感じる必要はないということです。1つでも信じられるものがあるならば、そこに確信を持ち、練習に、一つ一つのボールに食らいついていけばいいのです。

 プラス思考で、言い換えれば自分に都合のいいことしか信じない青年亮太は、常に他人の言葉や行動をポジティブに受け止める術を身につけました。そしてそのテクニックは社会に出てからも必ず役に立ちます。叱咤激励は、”期待してくれているから”と受け止めるのです。本当にどうでも良ければ関わりを持たず放置するのが1番手っ取り早いはず。しかし、それでも想いを言葉にし、厳しく伝えてくれるのは、迸るパトスと溢れるパッションが込められているから…。ほら、今まで言われてきた厳しい言葉を、すべてプラスに受け取れるようになったでしょう。そうやってプラス思考に、前向きに、信じた方向にただ進めばいいのです。

 上京し(コートは埼玉の志木)、右も左も分からなかった少年亮太が、ホームシックになりながらも、厳しい体育会で青年亮太に成長した過程で出会った方々、仲間、時間、そのすべてに感謝をしています。青春時代の濃い4年間を過ごさせてくれた立教体育会テニス部に、今後もOBとして深く関わっていきたいと思います。

 そして最後に、一緒に4年間を過ごしてくれた同期の皆、ありがとう。皆がいてくれたから、乗り越えられたことが沢山ありました。これからの人生でも、皆がいてくれること、過ごした時間は私の強みであり、宝として輝き続けます。この機会がなければ伝えられなかったかもしれません。

 立教大学体育会テニス部は、そんな仲間の集まりでできているという事。これを読んだ現役の皆さん、きっと君達にもそんな素敵な仲間ができる事を願っています。

合言葉は『昇格!』