「いやだな~」

提供者: 昭和54年(1979)-原田豊。 区分: 寄稿文

                    
 それはそれはとっても風の強い富士見グランドでした。準硬式野球部からまるで嵐のように砂の混じった横風が1面に吹きまくってました。こんな風じゃ「いやだな~」と思いながらも1面のコートに立ちアップを始めました。クレーコートの砂が全部2面方向へ飛び散り滑りのとても悪い土のコートでした。試合の相手は学習院大学、昭和51年のリーグ戦シングルNO6の対戦でした。

 前日学習院は天候不良を言い訳にダブルスの試合に来ず既に立教側から3-0の状態でした。どう見ても当時の実力では9-0で完勝すると誰もが思っておりました。そんな中試合開始です。相手は同学年の宇佐川選手。高校まで無名な彼に何の心配も無く勝てると思っていたのは私だけでしょうか?しかし!まだ3月の寒~い北西からの強風が体温を奪い汗もかけない危険な(やる気がないとも言う)状況に拍車を掛けました。相手は鈍感なのか何も感じてないようでミス無くただストロークを繋ぎこちらのエラーには不敵な笑みを浮かべ「どうだ!」とばかりの奇声を上げてました。その眼鏡顔は立教には絶対居ない嫌~なタイプ。サーブのトスは軽く1m以上流されロブを上げれば軽く2面方面へ・・・ファーストセットを取られセカンド巻き返しも気持ちが全く乗らず相変わらず「いやだな~」の思いには勝てない私がコートに居ました。

 ベンチコーチの大先輩が「原田~体の具合でも悪いのか?止める?」救世主現るです!私は即答で「はい!」という間も無く大先輩が審判に「こいつ具合が悪いから止めさせます」・・あ!リーグ戦て途中で止められるんだ!その後体の具合が悪い事になった私はクラブハウスでお休みです。その間に他のメンバーが全勝して結局立教が8-1で勝ちました。1敗は勿論私の途中棄権です。試合終了後の集合でベンチコーチの大先輩より大変なお叱り(罰則=坊主刈り)を受けました。決して体調が悪い訳でもなくただ「いやだな~」に勝てなかった事は青春時代の反省として今でも教訓とし活かしております。でも未だに風がある日はトラウマです。当時の対戦相手宇佐川君とは現在もテニスを楽しみ酒を酌み交わす仲で大変親しくさせていただいております。

現役諸君に一言・・・色々な失敗も有ると思います、嫌な事もたくさんありますよね、何度失敗してもそれを如何に次に生かすかが鍵です。「ピンチをチャンスに!」目標は高く是非頂上を目指して頑張って下さい。